『ペタルシャワー』


「ダメよ。口紅がドレスについちゃうじゃないの」
 姉さんは、僕から離れようともがいた。けれど、僕はそうさせまいといっそう腕に力を込める。首筋に舌を這わせ、大振りのイヤリングごと耳を甘噛みして、耳の穴に息を吹きかけると、とたんに彼女の抵抗は弱まった。
 むき出しになった背中を撫でさすると、あ……、という甘い吐息が彼女の口から漏れた。すでに真っ白なドレスのあちこちに口紅の赤いしみがうっすらとついている。大きな姿見の前に彼女を立たすと、身体をそれに押しつけた。後ろから乱暴にスカートの裾をまくり上げると、水色のガーターベルトに包まれたちいさいけれど形のいい、ドレスに負けないくらい真っ白なヒップがむき出しになった。
「ねえ、やめて。もうすぐ人が呼びに来るわ」
 姉さんは甘えるように媚びるように囁く。その声音が、ますます僕を昂ぶらせることを、とてもよく知っているくせに。
 僕は両脚の間のわずかな隙間に指を差し込む。そこは熱を孕んで、もう充分に潤っていた。
 亀裂に指先を滑らせて、その先にあるちいさな突起を探す。こりこりとした感触を捕まえると、中指の腹でゆっくりと愛撫する。
 姉さんの呼吸は乱れはじめ、顔を押し当てた鏡面が姉さんの熱い吐息でみるみるくもっていく。頬がほんのりと桜色に紅潮し、軽く目を閉じて眉根を寄せる。ほんのすこしひらいた唇からは、堪えきれない愉悦の甘い声がとぎれとぎれに漏れだす。
 くもった鏡越しに映し出される姉さんのその恍惚とした表情は、ぞくぞくするほど艶めかしかった。
 膝が小刻みに震えて、くずおれそうになる姉さんの身体を、脇に左手を差し入れて支える。
 いつからだろう。片手だけで姉さんの身体を支えられるようになったのは。
 僕は、ずっと姉さんの庇護が必要な、ちいさくて弱い存在だったはずなのに──。
 姉さんは、身を捩ると、ああっ、とちいさな叫び声をあげて、やわらかく僕の胸のなかに倒れ込んできた。
 その瞬間、僕の指先をねっとりと濡らしていたモノが、溢れこぼれて滴り落ちた。

 この続きは本をお読みください。


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